身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
仁は警告するが、椿は聞かなかった。
この手を止めてしまったら、それこそ『みなせ屋の娘』という自分の価値はなくなってしまう。
震える指先で帯を解き、衿を広げていく様を、仁は険しい表情をしたままじっと見つめていた。
肌襦袢もすべて脱ぎ終わると、残りは色気のないシンプルな和装下着のみ。
もう後戻りはできないと心を決め、すべての下着を外す。
仁の視線が痛い。恥ずかしさから息が上がり、今にも気を失いそうだったが、体を隠すことも許されない。
手を出さずじっと椿のことを見つめていた仁だったが、腕を組んだまま近寄ってきた。
「期待なんてするなよ。俺は機嫌が悪い。遠慮などしてやれない」
ぞっと肌が粟立ち、唇をかみしめた。
姉への怒りの捌け口にされる――そう気づき、血の気がひく。
「……本当にいいんだな? どうなっても知らないぞ」
いいもなにも、一度腹を決めて衣服を脱いでしまった以上、戻る先など存在しない。
こくんと頷くと、仁の手が伸びてきて、背中に回った。
「……っ!」
片手で抱き寄せられ、後頭部の髪を掴まれる。もう片方の手が、椿の胸に触れた。
「きゃっ……!」
この手を止めてしまったら、それこそ『みなせ屋の娘』という自分の価値はなくなってしまう。
震える指先で帯を解き、衿を広げていく様を、仁は険しい表情をしたままじっと見つめていた。
肌襦袢もすべて脱ぎ終わると、残りは色気のないシンプルな和装下着のみ。
もう後戻りはできないと心を決め、すべての下着を外す。
仁の視線が痛い。恥ずかしさから息が上がり、今にも気を失いそうだったが、体を隠すことも許されない。
手を出さずじっと椿のことを見つめていた仁だったが、腕を組んだまま近寄ってきた。
「期待なんてするなよ。俺は機嫌が悪い。遠慮などしてやれない」
ぞっと肌が粟立ち、唇をかみしめた。
姉への怒りの捌け口にされる――そう気づき、血の気がひく。
「……本当にいいんだな? どうなっても知らないぞ」
いいもなにも、一度腹を決めて衣服を脱いでしまった以上、戻る先など存在しない。
こくんと頷くと、仁の手が伸びてきて、背中に回った。
「……っ!」
片手で抱き寄せられ、後頭部の髪を掴まれる。もう片方の手が、椿の胸に触れた。
「きゃっ……!」