身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
容赦のない触られ方に、椿の体がぞくりと反応する。

足がガタガタと震え始め踏ん張りが効かなくなり、押されるがままにベッドへと倒れ込んだ。

仁は椿に覆い被さり、自身のシャツを脱ぎ捨てベルトの金具を外す。

初めて目にする男性の素肌。それはあまりにも逞しく硬質で、自分のものとはまるで違っていた。

――怖い!

ぎゅっと目を瞑り、自分の上に跨る獣が貪り終わるのを待つ。初めてだからなにをされるのかもよくわからなかった。

――苦痛はどれだけ続くの? 五分? 十分? それとも一時間?

涙が滲みそうになるけれど、泣くことは許されない。

腕を掴んで圧し掛かられ、かろうじて自分の意思で動くのは口くらいのものだが、どんなに悲鳴を上げても誰も助けに来てはくれないだろう。

このまま犯されるしかない。

仁の吐息を首筋に感じ、ひくりと背中が浮き上がった。

彼の舌が首筋から下へ伝い、肌にぬるい湿った感触を残す。

「あっ……」

思わず声をあげてしまったのは、仁が与えてくれるその感覚が想像以上に甘やかだったからだ。

『遠慮などしてやれない』そう言っていたはずなのに。仁は椿の緊張を優しく解きほぐし、慈しむかのように丁寧に愛撫した。

――どうして……?
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