身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
「……以前、ずんだのスイーツをたくさん注文したことがあっただろう」

突然切り出した仁に、椿は目をパチパチと瞬きながら「ええ」と頷く。

「別に、ずんだが取り立てて好きだというわけではないんだ」

椿の目が点になる。

「……あんなにたくさん頼んでおいて、今さらそんなことを言いますか?」

「もちろん、おいしかった。だが、それだけじゃなかったんだ」

ただおいしいから、食材が気になったからというだけで、料理を山のように頼んだりしない。

「椿の笑顔が見たかった」

そして、その笑顔を共有したかった。

椿を選んだのは、同情でも庇護欲でも、独占欲でもなく。

仁もまた、椿に憧れていたからなのだと、そのことに今、やっと気づくことができた。

思わぬ仁の言葉に、椿はクスクスと笑う。

「笑顔だけなら、あんなに注文しなくたっていつでもできるのに」

キラキラと眩い輝きを放つ笑顔を、椿は惜しげもなく見せてくれる。

彼女がいれば、新しい世界が開ける。

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