身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
しかし、菖蒲はよほど自信があるのか、口元に笑みをたたえる。
「当たり前じゃない。私と仁は五年も付き合っていたのよ? その辺の夫婦なんかよりもよっぽど固い絆があるんだから」
ズキンと椿は胸が痛むのを感じた。
仁と菖蒲の間には、長い時間をかけて積み上げた愛と信頼がある。
数カ月一緒に過ごした程度の椿では比較にならない。
「だいたい椿より私の方がみなせ屋の女将に相応しい。ねぇ、椿。そう思うわよねぇ?」
「それは……」
悔しいけれど、間違っていない。椿は着物が大好きで、接客も好きだけれど、それでも菖蒲にはかなわないのだ。
菖蒲には人を惹きつける力がある。言葉では説明できないからカリスマ性とでも言うしかない。あるいは天性の魔性とでも言おうか。
菖蒲が着物を纏えば、衣桁にかけてあるときよりも何倍も美しく艶やかに見える。
菖蒲が「まぁ素敵! とてもお似合いですよ」と笑えば、客は上機嫌でその着物を購入するのだ。
「……そう、思います……お姉ちゃんの方が、みなせ屋の女将に相応しい……」
「椿!」
父が怒声を上げる。
だが、どうしてもそう思ってしまうのだ。菖蒲は椿の憧れなのだから。
「当たり前じゃない。私と仁は五年も付き合っていたのよ? その辺の夫婦なんかよりもよっぽど固い絆があるんだから」
ズキンと椿は胸が痛むのを感じた。
仁と菖蒲の間には、長い時間をかけて積み上げた愛と信頼がある。
数カ月一緒に過ごした程度の椿では比較にならない。
「だいたい椿より私の方がみなせ屋の女将に相応しい。ねぇ、椿。そう思うわよねぇ?」
「それは……」
悔しいけれど、間違っていない。椿は着物が大好きで、接客も好きだけれど、それでも菖蒲にはかなわないのだ。
菖蒲には人を惹きつける力がある。言葉では説明できないからカリスマ性とでも言うしかない。あるいは天性の魔性とでも言おうか。
菖蒲が着物を纏えば、衣桁にかけてあるときよりも何倍も美しく艶やかに見える。
菖蒲が「まぁ素敵! とてもお似合いですよ」と笑えば、客は上機嫌でその着物を購入するのだ。
「……そう、思います……お姉ちゃんの方が、みなせ屋の女将に相応しい……」
「椿!」
父が怒声を上げる。
だが、どうしてもそう思ってしまうのだ。菖蒲は椿の憧れなのだから。