身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
『妊娠のことも含めて、ご両親に挨拶がしたい。婚約しているとはいえ、入籍前に妊娠させてしまったからな。謝罪はすべきだ』

話がどんどん進み、後戻りできない方向へ流れていく。

仁の気持ちを確かめることなく幸せを享受していいのだろうか。

このまま結婚して後悔せずにいられるか、椿は悩み焦る。

『ご両親の週末の予定を聞いてみてくれるか?』

「……仁さん、そのことなんですけど……」

仁の気持ちを試すならば今しかない、そう焦った挙句に決意をして口を開く。

「ごめんなさい。妊娠は、私の早とちりだったみたいで……」

『そう……なのか?』

呆然とした仁の声が聞こえてきて、椿は罪悪感に押し潰される。

まるで自ら不幸に向かって進んでいくようだ。お腹の子を巻き添えにして。

子どものことを考えるならば、綺麗ごとを言わずに仁を縛り付けておくべきだったのかもしれないが――どうしてもそれでは椿の気が済まなかった。

『椿……明日にでも会えないだろうか。今後のことについて話しておきたい』

仁の声が妙にあらたまり、ヒヤリと背筋が寒くなる。

まさか別れを切り出されるのではないか――そんな不安が脳裏を駆け巡る。

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