身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
食事のあと、再び自室にこもり会議を続けていた仁は、二十三時になってようやく部屋の外に出てきた。

椿はすでにお風呂に入り終えていて、ソファで髪をタオルドライしている。

「お疲れ様です、仁さん。先にお風呂いただきました」

「ああ。椿は明日も早いんだろう? 疲れたら先に眠っていてくれ」

仁の言葉から、まだやることが残っているのだと察した椿は、少しだけ寂しい気分になる。できれば一緒に床につきたかったのだが。

妊娠していなければ多少寝不足になってでも待っていたかもしれないが、今はきちんと眠った方がいい。

あきらめて椿はにこりと笑う。

「じゃあ、もう少し経ったら先にベッドへ行きますね」

しかし、こういうときは察しのいい仁である。笑顔の裏にある本心をたくみに読み取る。

「食事は一緒じゃなくても平気なくせに、ベッドでは寂しがるんだな」

すとんと椿の隣に腰かけ、すかさず頬にキスを落とす。

とろ甘くなってきた仁の眼差しに椿の胸は疼きだすが、妊娠中なので本気にならないように気持ちを押し留める。

一応仁も激しく抱かないように制御してくれているが、溢れる色気と情愛たっぷりの眼差しは、なにがしたいかを言葉よりも雄弁に語っている。

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