身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
しかし、フォロワー数やコンテンツを見て菖蒲が片眉をあげる。

「フォロワー五千……? 結構いるのね」

「お店の広告に役立てばと思って。着物に興味のある人がフォローしてるから、宣伝すれば買いに来てくれるかも」

菖蒲は「効果あるのかしら?」と首を捻っているけれど、若者向けのモードとしての着物を載せれば必ず反響はあると椿は踏んでいる。

華やかな着物姿は写真に映えるのだ。

「それにね、仁さんに着物を着せてふたり並んでアップしたら、いいねの数が十倍に……」

「それは使えるかもしれないわね……」

顔は写さないようにしたのに、首から下だけでも仁はモデルとして充分な素質を備えているらしい。

着物の魅力も存分に伝わり【その着物はどこで買ったんですか?】という問い合わせもすでに来ているくらいだ。

仁も以前『微力ながら協力させてもらう』と言ってくれていたことだし、椿が仕事に復帰したら仁には少しだけモデルをお願いしようと思っている。

「今後、お店に若年層向けの着物を仕入れるときが来たら宣伝に使わせて」

菖蒲は「そうねぇ」とまんざらでもない顔で顎に手を添えた。

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