身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
「どういう……ことですか……?」

「君を妊娠させるつもりはないと言ったんだ。今までも、これからも」

椿は顔から手を離し、愕然とした表情で仁を見上げる。

とても信じられない言葉だった。仁は椿を妊娠させるためにこれまで体を重ねていたのではないのか。

「でも……そんな、どうやって――」

「君はよく抱いている途中に意識が朦朧としてしまうから、気づかなかったんだろうが……まぁいろいろと」

確かに、激しく抱かれて気絶するかのように眠りに落ちたことが何度かあった。

その間、椿が妊娠しないように小細工をしていたというのか。

「じゃあ、これまで私を抱いたのはなんだったんですか?」

妊娠しようと必死になっていた椿とは反対に、仁は妊娠させまいとしていた――。ただの趣味で椿を抱いていたとでも?

「私はいったいなんのために……」

椿では器としても不足なのだろうか。

――姉やあの女優のように、美しさや気品が備わっていなければ相応しくないの? それとも人としての魅力が足りていない? 年齢が幼すぎる?

だからこそ、いつまで経っても唇にキスをくれないのだろうか。
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