身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
菖蒲を連れ戻すかどうかは争論になった。
菖蒲に対し異常なまでに執着している祖父はもちろん連れ戻せというし、対して仁自身や父親は結婚する気のない女性を無理やり連れ戻しても無駄だろうと反対した。
いずれにせよ、これまで五年も彼女の実家に多額の援助を続けていたことを考えると、ただ婚約を破棄して終わりとはいかない。
金を払わされた挙句、裏切られたのだ。易々と許しては京蕗家の名折れだ。
そんな折、椿が謝罪に訪れた。水無瀬社長ではなく娘の椿が謝罪に来たことに、仁は驚きと怒りを覚えた。
下の者に土下座をさせて自身の不手際をごまかそうとは、経営者としても親としてもあるまじき行為だ。
長女を売り飛ばそうとするような人間である、非情で傲慢な性格は予想していたが、今度は次女まで駒のように扱うとは。
姉の代わりに妹を買おうとは、さすがの祖父も思わないだろう。
京蕗仁と水無瀬菖蒲の婚約はすでに関係者に周知されている。婚約破棄ならまだしも『姉がいなくなったので代わりに妹の方と結婚する』などと体裁の悪いことを報告できるわけもない。
菖蒲に対し異常なまでに執着している祖父はもちろん連れ戻せというし、対して仁自身や父親は結婚する気のない女性を無理やり連れ戻しても無駄だろうと反対した。
いずれにせよ、これまで五年も彼女の実家に多額の援助を続けていたことを考えると、ただ婚約を破棄して終わりとはいかない。
金を払わされた挙句、裏切られたのだ。易々と許しては京蕗家の名折れだ。
そんな折、椿が謝罪に訪れた。水無瀬社長ではなく娘の椿が謝罪に来たことに、仁は驚きと怒りを覚えた。
下の者に土下座をさせて自身の不手際をごまかそうとは、経営者としても親としてもあるまじき行為だ。
長女を売り飛ばそうとするような人間である、非情で傲慢な性格は予想していたが、今度は次女まで駒のように扱うとは。
姉の代わりに妹を買おうとは、さすがの祖父も思わないだろう。
京蕗仁と水無瀬菖蒲の婚約はすでに関係者に周知されている。婚約破棄ならまだしも『姉がいなくなったので代わりに妹の方と結婚する』などと体裁の悪いことを報告できるわけもない。