身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
姉と比較され続けてきたのか、姉のようにならなければと思い詰めるきらいがあって放っておけない。
少しずつ、彼女の折れてしまった心を癒してやる作業が必要だった。
だが、椿はどんなに自信を喪失していても、好きなことに対する姿勢は変わらない。
仁が着物の見立てを頼むと、椿は喜んで引き受けてくれた。
『仁さんでしたら明るい色のお着物もよく似合いますよ』
そう言って見繕う椿は、今までに見たことがないくらい生き生きとしていた。
ともに甘味処へ行ったときは、なぜか彼女は〝ずんだ〟で火がつき――。
『おいしいですよね、ずんだのスイーツ!』
普段は大人しく猫を被っている椿だが、スイッチが入ると目を輝かせて語り出す。
あどけなく純真な性格はあの頃となにも変わっていないのだと気づき、仁はホッとした。
その日の夜。
『私を愛してください。仁さんが欲しい』
煽ったのは仁であるにも関わらず、椿の艶めいた表情に心を奪われた。
拒めない立場の彼女に手を出す自分は最低だと、激しい嫌悪感に襲われながらも、仁はこの手に抱きたいという欲求に抗えなかった。
……妊娠させないように、気をつけなければ。
少しずつ、彼女の折れてしまった心を癒してやる作業が必要だった。
だが、椿はどんなに自信を喪失していても、好きなことに対する姿勢は変わらない。
仁が着物の見立てを頼むと、椿は喜んで引き受けてくれた。
『仁さんでしたら明るい色のお着物もよく似合いますよ』
そう言って見繕う椿は、今までに見たことがないくらい生き生きとしていた。
ともに甘味処へ行ったときは、なぜか彼女は〝ずんだ〟で火がつき――。
『おいしいですよね、ずんだのスイーツ!』
普段は大人しく猫を被っている椿だが、スイッチが入ると目を輝かせて語り出す。
あどけなく純真な性格はあの頃となにも変わっていないのだと気づき、仁はホッとした。
その日の夜。
『私を愛してください。仁さんが欲しい』
煽ったのは仁であるにも関わらず、椿の艶めいた表情に心を奪われた。
拒めない立場の彼女に手を出す自分は最低だと、激しい嫌悪感に襲われながらも、仁はこの手に抱きたいという欲求に抗えなかった。
……妊娠させないように、気をつけなければ。