過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「失礼します。会議室の片付けに参りま……うわっ⁉︎」

ノックしてドアを開けた瞬間、中から急にぐいっと姿の見えない誰かに腕を引かれ、会議室の中へと引き摺り込まれた。

そしてドアが閉まると同時に鍵をかけ、そのドアの横の壁に私を押しつけ両手で囲う人物を見て、「……せっ、せん……っ!」と驚きに声を上げようとするも、その声は彼によって飲み込まれてしまった。

まるで、私を食べてしまうかのようなキスで唇を塞がれてしまったから。

足の間にもぐっと膝を差し込まれ、逃げられない。

し、しまった………!完全に油断してた。

だってまさかこんなところで待ち伏せしてるなんて思わないから!

んー!と喉の奥から声を出し、彼の胸を押して抵抗するも、止まる気配はないばかりか、キスは深くなる一方。

「…んっ、ふぁ……っ」

息の仕方が分からなくて酸素を求め僅かに開けた口から、今度は彼の舌が入り込んでくる。

それは私の舌を絡め取り、口内を我が物顔で蹂躙する。

そうして脳みそまでとろとろに溶かされてしまった私には、もうなす術がない。

ようやく唇が離れた時にはもうすっかり息が上がっていて、私は専務に縋りつくような格好になっていた。
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