過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「ご、ごめんなさい……」

素直に謝った後、でも坂崎さんとはつい最近偶然再会したばっかりで、だから2人でご飯も今日がはじめてで、そう続けようとした。

だけどこつん、と額を合わされ、私を抱き締める腕を少し緩めた大我の切なげな熱を孕んだ双眸に射抜かれてしまえば何も言えなくなってしまう。

「……羽衣。お前、全然分かってねえ」  

「え……?」

「オレがどんだけお前のこと好きか」

「えっ……⁉︎」

「……頼むから、誤解したまま勝手に離れて行こうとするな」

そう言って大我は私の右頬を包み込む。

……ちょ、ちょっと待って。今好きって言った?大我が、私を……?

「……嘘……」

「嘘じゃない。好きだから触れたいと思うしキスだってしたいと思う。オレはお前のことを揶揄ったことなんて一度もない」

「だって……」

桃ちゃんは?そう言おうとした私の唇を、大我は親指でそっとなぞる。

その甘い刺激に、まるで身体に電気が走ったみたいになってぎゅっと目を瞑る。

「だから他の男に触れられるなんて、我慢ならねえんだよ」

独占欲を滲ませた苦しげなその声が届いた瞬間私の唇は大我に食まれ、次第にそれは情熱的なキスへと変わっていく。
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