過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「お世話になっております。本日16時から御社の取材をさせて頂くことになっております、紬出版の榊と鳥居と申します」
「……とし……っ⁉︎」
「よっ」
驚く私を見て、イタズラっ子みたいな無邪気な顔で笑うのはとしだった。
「まさか今日の専務の取材相手って、としなの⁉︎」
完全に受付としてのテンプレートのセリフを言うことすら忘れて、普通に聞いてしまう。
「そ。これオレの企画だし」
「教えてくれれば良かったのに!」
「驚かそうと思ってさ」
「なになに榊、お前こんな可愛い知り合いいたの?」
すると、としの後ろにいたカメラマンらしき人が割って入る。
「同郷で幼馴染みなんですよ」
「すっげータイプ。榊、紹介して?」
そう言って人好きのする笑顔を私に向ける。
なんか、見た目はそこまでチャラそうじゃないのに、中身がチャラい………。
「やめた方がいいっすよ。こいつには最恐の番犬が付いてますから。鳥居さん殺られますよ、マジで」
としが苦笑する。