過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
……最恐の番犬って、ひょっとしなくても大我のことだろうか……。
たぶん、クラス会の時のことを言ってるんだろう。
そこで思わず大我にファーストキスを奪われた時のことを思い出してしまい、チクリと胸が痛んだ。
「え、彼氏かなんか?」
「いっ、いえっ全然違いますっ、過保護過ぎる、兄みたいな人ですっ」
その思考を追い払うように全力でそう否定する私に、なぜか眉を顰めるとし。
そして私の方へずいっと顔を寄せて、
「…彼氏じゃないの?大我さん」
こそっと耳打ちする。
「だっ、だから違うって言ったじゃん……っ」
クラス会の時の大我の登場に興奮した美乃梨に、後日としと共に召集を掛けられお迎えの真相を尋ねられた私は、"付き合ってるとか彼氏とかそういうのではないから!"としっかり否定した。
だけど、"彼氏でもないただの上司が迎えに来るなんて普通あり得ないでしょう⁉︎"と目をキラキラさせて食い下がる彼女に根負けして、ついに大我と一緒に住んでいることを白状して。
だからあくまで保護者として迎えに来てくれたんだと説明した。
ややこしくなるからキスされたことはもちろん伏せて。