シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「ああ、凄かったよ。たった1人であの腕っぷしの強い幹部連中を()したんだ。それを見てついてきた俺らのことも見捨てずに面倒見てるとことかもさ、器が広いっていうか……」

「へぇ……」

「とにかく、俺はギンに憧れとか感謝とかしてるってことだよ」

 照れるからギンには内緒な、と笑う颯介さんに「はい」と頷く。


 一緒に階段を下りながら、また1つギンのことを知れたと感じた。

 恨みを買っている族のことを思うと怖さもあるけれど、ギンのことを知れたのは純粋に嬉しいと思う。


 やっぱりもっと知りたい。


 そう思いながらリビングに戻った。

 リビングにはまだギンの姿はなかったので、わたしは先に洗濯物を乾燥機に入れようと真っ直ぐシャワールームに続くドアへと向かう。

 そうして乾燥機に終わっていた洗濯物を入れてスイッチを入れたところで、ガチャリとシャワールームの1つが開く音がした。


 ギンが出てきたんだなと思って視線を向けてわたしは固まる。

 なぜなら、彼は肩にバスタオルをかけただけで上半身が裸だったから。

 下はちゃんと全部はいていたけれど、濡れ髪に上半身裸というギンの姿は色気が大爆発状態だった。


「っ! っ!」

 叫びたいのに声が出ない状態。

 そんなわたしに気づいたギンは、目を細めて「ここで待ってたのか?」と冗談っぽく言った。
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