ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!
車内はしんと静まり返っていた。

美夕は、どこに連れて行かれるのか全く見当がつかないので、行き先を聞きたくて仕方がなかったが、先程のシートベルトの一件で、恥ずかしくて聞くに聞けない心境だった。すると、まるで心が読まれたのかと思うタイミングで、田辺が、

「これから、春名さんに明日から着用して頂くスーツを見に行きます。」

と、言った。

「は、はい…。」

と、美夕は返事をした。

さっき言ってたスーツは一緒に見に行くんだ。確かに、サイズのこともあるからそうなるか…。でも、なんで皆で行くんだろう??

と、考えながら高遠副社長の方をチラリと見た。
またもや、美夕の考えていることが、伝わったのかと疑うほど、田辺が、絶妙なタイミングで、

「今から行く店は、ベリールートホテルと契約しているブティックです。社長の妹さんが経営しておられます。ウエディングドレスやパーティードレス、着物やスーツなどのレンタルと販売をしています。一通りの物が揃うので、今日はそこで春名さんのスーツを選びます。」

と、田辺が、説明した。

「あの、スーツなら私も何着か持っているのですが、それではダメなんでしょうか?わざわざ用意していただくのも…。」

と、言いかけると、田辺が、

「春名さんがどういうスーツをお持ちか存じませんが、副社長の隣に立つ以上、ある程度のものを身に付けていただかないと。」

確かに、私の持っているスーツは、相応しいか相応しくないかといえば、後者だろう。美夕は、

「分かりました。よろしくお願い致します。」

と、返事をした。
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