ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!
フイッティングルームを出ると、店員に大きな紙袋を渡された。

「こちらに先程のスーツ2着が入っております。」

「あ、ありがとうございます。」

「お着物の直しは1週間ほどかかります。」

「分かりました。よろしくお願い致します。」

と、店員と会話を交わしていると、高遠副社長が自分の財布からカードを出し、支払いを済ませている姿が目に入った。

やっぱり小百合さんの言う通り、経費じゃないんだ…。これはお礼を言わなければ…。

と、思い、高遠副社長の方へ行こうとしたら、先に高遠副社長の方から、

「送ります。車に乗ってください。」

と、言われた。

「は…はい。」

と、美夕は慌てて返事をし、お礼を言いそびれた。
店員に見送られながら3人で店を出ると、田辺が、

「家までお送りしますので、荷物を…。」

と、先程の大きな紙袋に手を伸ばした。美夕はすぐに、

「あの…ここから駅も近いですし、送って頂かなくても大丈夫です。」

と、断ると、車の中から、

「いいから、早く乗りなさい。」

と、高遠副社長に言われた。

「…はい。」

美夕は、仕方なくまた車に乗った。

車が動き出してから、15分ほどで、美夕の住んでいるアパートに着いた。

美夕は、スーツの入った紙袋を受け取ると、

「今日は、スーツを用意していただいた上に、家まで送ってくださり、誠にありがとうございました。」

と、丁寧にお礼を言った。
高遠副社長は、ぶっきらぼうに、

「ああ。」

と言っただけだった。すかさず、田辺さんが、

「今日はお疲れさまでした。明日からよろしくお願いします。」

と、言った。美夕は、

「お疲れさまです。明日から頑張ります。では、失礼致します。」

と、言った。それから、車が立ち去るまで見送ってから、アパートの方に歩き出した。




< 22 / 79 >

この作品をシェア

pagetop