ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!
フロントカウンターに戻ると、案の定、橘さんは、見事に他の女子社員に捕まっていた。

しかも、今はチェックインのお客様もおらず、女子社員はアプローチし放題だった。

「私もうすぐ上がるんですけどぉ、この後一杯行きませんかぁ?ワインの美味しいお店があるんですぅ。」

と、熱烈にアピールしていた。

「いや、今日は…ちょっと…」

と、橘さんが困っているのを見て、心の中で、

ほらほら、行ってしまえ!

と、願っていた。そして、別に急ぎの用はないが、1度スタッフルームに逃げることにし、

「下がります。」

と言ってから、スタッフルームの扉の前で振り返りお辞儀をしてから、スタッフルームに逃げ込んだ。

「あれ?美夕さん、どうかしました?」

と、奏ちゃんが、パソコン越しに声をかけてきた。

「また橘さんに誘われたから逃げてきた。」

「またぁ?あの人もチャレンジャーですね。」

そう、実は誘われたのは初めてではなく、契約社員として入社してから、ずっと食事に誘われ続けている。しかし、まだ1度も行ったことはない。

「美夕さん、橘さんのこと目の保養になるって言ってたじゃないですか。私も二人で行ったことありますけど。普通に食事して飲んで解散ですから。そんな深く考えなくても。」

「いくら男前でも、そもそも私、あの人と食事したいとも思わないんだもの。」

「これは橘さん、一生、美夕さんとは食事には行けないですね!」

と言って奏ちゃんはクスクスと笑った。そして、すぐ、思い出したかのように、

「あっ、そうそう、美夕さん、ちょっとこれ見てください。」

と、言って、私にパソコンの画面を見せた。
< 5 / 79 >

この作品をシェア

pagetop