ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!
「現在、この電話は使われておりません。番号をお確かめになって・・・」

高遠副社長が何度も美夕の携帯に電話を入れるが、冷たいアナウンスが繰り返されるばかりだった。

ホテル内の仕事部屋に入ってくるなり、

「田辺、美夕と連絡がつかないんだ!!」

と、高遠副社長が焦りながら、田辺に言った。

「ああ、そのことでしたら、これを預かっております。」

と言って、美夕の直筆の退職届を高遠副社長に渡した。

「どういうことだ?」

と、高遠副社長は、退職届を読みながら言った。
もちろん退職届には一身上の都合としか書かれていなかった。

高遠副社長は、思わず持っていた退職届に力が入り、ぐしゃっと握りつぶした。

「事務にはこちらの方で手続きしておきますので。」

と、田辺が言うと、高遠副社長が

「車を回してくれ!」

と、大きな声で言った。田辺はそれでも落ち着いた口調で、

「恐れながら、私用での社用車の使用は。それに、今から、会議にご出席していただかないと。」

と、淡々と言った。高遠副社長は、

「田辺、お前、知っていてなぜすぐに俺に連絡しなかった?」

と言った。

「男女間の問題に口を挟むのはよくないと思いまして、今回は春名さんの希望を
優先させていただきました。」

「彼女は今どこだ?」

「そこまでは、聞いておりません。」

「じゃあ、事件や事故ではないんだな。」

「もちろんです。彼女の退職も携帯番号の変更もすべて彼女自身の意志です。」

「会議が終わり次第、彼女の家に行ってくる。」

「承知しました。」
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