ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!
会議が終わると、高遠副社長は、タクシーに乗り込み、美夕の自宅へ向かった。

しかし、彼女は引っ越した後で、もぬけの殻だった。
管理人に新しい住所を聞いても、知らないの一点張りで、引っ越し業者に聞いても、
個人情報なので教えられないと突っぱねられた。

「一体どこに・・・。」

高遠副社長は、タクシーの窓から移り変わるビル群を見ながら、肩を落とした。

ホテルに戻ると、すぐに事務所に入って行った。

突然副社長が入ってきて、皆驚きを隠せずにいた。

「社員名簿を見せてほしいんだが。」

と、高遠副社長が言うと、すぐに業務課の一人が、

「こちらです。」

と言って、高遠副社長を呼んだ。

PCに自分のパスワードを入れ、社員名簿を開いた。
高遠副社長は、

「ありがとう。」

と言うと、空いた椅子に座り、社員名簿を確認し始めた。

しかし、春名美夕という名前はどこにも見当たらなかった。

『今日の今日消えるのか?』

と、疑問に思いながらも、

「退職した職員の情報はどうなってる?」

「退職届が受理された日に、削除します。今は個人情報の取り扱いがうるさいので。」

「春名美夕の退職はいつになってる?」

「ちょっと待ってくださいね。」

と言うと、退職者名簿という違う画面を開いた。
すでに春名美夕という名で、入社日と退職日だけが入力されており、
住所も電話番号も欲しい情報は何も分からなかった。

「今日ですね。今日処理されたようです。」

「仕事が早いね。」

と、高遠副社長は嫌みのつもりで言ったが、言われた社員は
にこにこ顔で、

「ありがとうございます!」

と、嬉しそうに答えた。

高遠副社長は席を立つと、何も言わずに事務所を出て行った。
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