むり、とまんない。
──────────


「橘」


「甘利くん……」


「今、いい?」


「うん……」


それから次の日の朝。


教室に行きたくないな……。


暑いせいか、なんなのか、そんな気持ちになった私は、校舎の端にある自販機に行った。


寝るの、別々だった……。


昨日あれから遥とは別れて、あーちゃんと合流した。


ずっと見たかったbondのパフォーマンスなのに。

だいすきな遥が目の前で歌っているのに。


『ごめん』


その言葉だけが耳にこびりついて離れなくて。


『次はcrownのみなさんです!』


crownのパフォーマンスも、ぼーっと見るしかできなかった。


『今日は疲れただろ。
また明日な』


『うん……』


どうしていっしょに寝ないの。

どうしてなにも言ってくれないの。


どうしてふれてくれないの。


どうしてそんな、苦しそうに笑うの。


遥と同居しだしてから、はじめて別々の部屋で迎えた朝。


『今日も朝から仕事。
これから新曲の準備で忙しくなるから、夜遅くなると思う』


その紙だけが、テーブルに置いてあった。
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