その星、輝きません!
 「ちょっと、何しているのよ?」

 慌てて彼の元に向かった。

「ああ。こっちの方が似合っていたから。べつにいくつあってもいいだろ?」

「な、なに言ってるのよ。いったいいくらすると思っているの?」

 すでに清算は済んでしまったようで、店員から紙袋を渡された。


「こっちと交換してください」

 私は自分の手にした物を差し出すと。


「それも一緒に」

 彼がポケットからカードを取り出した。

 この人、算数できるのだろうか?


「やっぱりいいです」

 
 店員さんに頭を下げると、彼をショップの外へ引きずり出した。


「まだ、いるものあるだろ?」

 彼は、コンビニに方を見て言った。


「こんな高いワンピース、買うつもり無かったのに……」


「はじめから、俺が買うつもりだったからいいんだ。ぶつぶつ言ってないで行くぞ! 時間がもったいない」


「もうー!」

 怒ってはみたものの。

 そうなのだ。時間がもったいない。思いっきり楽しむと決めたのだから、こんな事で時間を取っているわけにはいかない。後で分割払いの返済を頼んでみよう。


 あーっ。マリンスポーツもしたいし、スパもしたい。プルーバーも行きたい。何からしよう。いや、お金もない、優先順位を考えよう。


「取り合えず、昼飯にしながら予定をきめないか?」

 彼に言われ、はっと気づく。お腹が空いた……


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