その星、輝きません!
 「ええ! やったー」

 声を上げて、両手を広げた。
 だって、海の見えるオープンテラスに、焼肉用の鉄板が用意されているのだから。


「乾杯ー」

 生ビールのグラスを上げた。一気に流し込むのど越しが最高だ。


「さあ、好きなだけ食べろよ」

「はい!」


 鉄板の上に肉を並べる。ジューっといい音を立てた。
 口に入れれば、ジューシーな肉の味が広がる。もう、次から次へと口に入っていく。

「ふっ」

 彼が、私を見て笑った。


「何が可笑しいの?」

「いや、良太が、焼肉食わせれば、機嫌よくなるって言ってたなと思って」

「あいつ、余計な事を!」

「怒るなって、人が旨そうに食べる姿を見るのは、悪いもんじゃない」


 すると、辺りが一気に暗くなった。停電?


  聞き覚えのある音楽が流れだした。誰か誕生日なのか?

  店の奥から、ろうそくの火が見え始めた。白い生クリームと沢山のフルーツが、ろうそくの火に照らされる。

 そしてチョコレートで出来たプレートには『happy birthday SANA』と書かれていた。

 「えっ? 私?」


 ギターを持った男性二人が、バースデーソングを演奏してくれている。生温かい風と波の音が入り交じり、ぐーっと胸を熱くした。


 「誕生日おめでとう」


 彼が、色とりどりにアレンジされた花束を差し出してきた。
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