その星、輝きません!
 「知っていたの?」

 花束を両手で受け取ると、胸の前でぎゅっとだ抱きしめた。おめでとうと言われる年じゃないのに、嬉しくなってしまう。


「勿論。でなきゃ、なんだと思ったんだ?」

 彼は、不思議そうに首をかしげた。

「えぇっ? じゃあ、今日の事は全部、私の誕生日の為だったの?」

「そうだよ。他に何があるんだ?」


「てっきり、あなたの、気分転換にでも付き合わされているのかと思っていた」

「はぁっ? そんなわけないだろ?」


「でも、どうして、私の憧れてた事を知っていたの?」


「良太に、姉ちゃんの欲しい物はなんだ?と聞いたら、ジェット機とプール付きのヴィラと焼肉だと教えてくれた」


「はぁ? 言う方も言う方だけど、聞く方も聞く方よ。普通そんな言葉、間に受けないでしょ」


「そうか? 誕生日なんだから、このくらいいいだろ?」


「このくらいって……」


 この人の思考には理解が追い付かない。


「ところで、サプライズは気に入ったのか?」


「あはははっ。もう、参ったわ。最高よ。本当に、ありがとう……」


 不思議と素直にお礼を言えてしまった。こんな、桁外れのバースデープレゼントに、ありがとうだけじゃ許されないと思いながら……


「ケーキは、部屋に運んでもらおうか?」


「ええ」

 私は、笑顔を彼に向けて頷いた。
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