あなたと出会って世界が変わる
体育館倉庫の前へと来ると、外側から鍵が閉まっている


急いで開けて、中へとはいると


膝を抱えて震えているひな


「ひな」

名前を呼ぶと、僕の方へと顔を向ける


大きな目に涙をためて、涙をが流れるのをこらえている


見ていられずに、近寄りひなを痛いほど抱きしめる


「ごめん、ごめんね、、遅くなって」

僕の声に首を振る


「そ、うくん、助けに、来て、くれて、、ありが、とう」

僕の背中に手を回すと、溜めていた涙を流すひな


「また、ひなを助けられなかった。僕がもっと早く戻ってればこんな事にはならなかった…」

悔しくて、唇を噛むと


僕の顔にひなの手が伸びてくる


「そ、うくん1番に助けに来てくれた。私、いつも奏くんに助けられてるよ」

笑顔を向けてくれるひな


もう一度抱きしめると


「…っ」


「ひな?もしかして、どこか痛い?」

少しだけ、表情を歪めるひな


僕へと伸ばしていた手と反対側の手を見ると、擦り傷から血が出ている


「…っ、他に怪我してるとこは?」


「大丈夫だよ、ただの擦り傷だから」

そう言って、笑う


「うそ、僕には効かないよ。どこ怪我してるの?」

困った表情をするひなを見つめていると


言いずらそうに、足を指さす


「ごめんね。ちょっと、触るね」

靴と靴下を脱がせると、足首が腫れてる


「痛いでしょ、お願いだから…我慢しないで…僕には隠さないで」

ごめんなさいと肩を落とすひな


「ううん、痛かったり、辛かったら頼ってよ。隠し事はしないで」

コクリと僕の言葉に頷く


外から走る足音が聞こえてくると


「大丈夫か?」

勢いよく琉生が入ってくる


ひなを閉じ込めたやつと離れた後すぐに琉生に連絡を入れていた


「僕の役割はここまでかな?琉生、後は任せた」


「あぁ」


「ひな、琉生を頼るんだよ」

ひなの頭を撫で、体育館倉庫を後にする


はぁ…最後は傷つけずに助けたかった…


もう、ひなの泣き顔は見たくなかったのに


そんな事を思いながら、ある人達の所へと足を進める
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