俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

 手料理が無駄にされなかったことと彼の気遣いに、強張っていた心が解れていく。

 あっさり昨日のいら立ちを忘れてしまいそうになり、自然に緩んだ口元をはっとして引きしめる。


「……これだけで懐柔させられたりなんてしないんだから」


 彼の手のひらで転がされているような自分がなんだか悔しくて、意地っ張りなひとり言をこぼした。



 その日、遅番を終えて帰宅したのは夜十一時頃だった。

 天澤さんは少し顔を合わせただけですぐに自室に入ってしまい、結局気まずさを残したまま。これで彼は国際線の勤務になるため、次に自宅で会うのは四日後になる。

 ケンカしたわけではないのに気まずい状態は、解決策を見つけるのが難しくて厄介だ。せめて私の意見も言うべきだったか。いや、そもそも彼は仲よくする気はないかもしれない。

 今日も仕事中以外は悶々としつつ、美紅さんと一緒にお昼休憩のため社員食堂へやってきた。セルフで数種類のおかずをトレーに乗せ、飛行機がよく見える窓際の席につく。

 利用者は私たちのような地上職のスタッフが多いが、制服を着たCAやパイロットもいる。気を張り詰めた業務から一時(いっとき)だけ解放される、皆の憩いの場となっているのだ。
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