俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
心の中で騒ぎまくっているだけでまったく動けずにされるがままでいると、天澤さんはすっと顔を離した。そして腕時計に目をやったあと、制帽を被り直して私を一瞥する。
「仕事終わってるなら、このへんで時間潰して待ってろ」
「えっ」
予想外の指示に、目が点になった。私が返事をする前に彼は踵を返し、オフィスのほうに向かってさっさと歩き始める。
ええと、待ってろってことは、また天澤さんとここで会うわけで……一緒に帰ろうっていう意味に取っていいんだろうか。
「あの天澤さんが?」
猜疑心たっぷりのひとり言がこぼれた。だって、女性に合わせるのを面倒臭がっていた彼が待ち合わせをするなんて。
意外すぎてぽかんとしたまま、私は彼の姿が見えなくなるまでそこに立ち尽くしていた。
約四十分後、シンプルカジュアルな私服に着替えた天澤さんがやってきた。ターミナルビル内をただぶらぶらしていた私は、「腹減ってるか?」と聞かれて大きく頷いた。
そうしてレストランに寄っていくことになったのだけど……これは夢でも見ているんだろうか。天澤さんとふたりで食事をしに行くなんて信じられない。