BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-

「ち、……ひろくん?」


理解が追いつかない。

ここは赤帝で、ひと気のない廊下の片隅の空き教室。


いるはず……ないのに。



「あやる」


でも、わたしを呼ぶ声は間違いなく本人だった。


「この状況。俺に見せつけてえのか、助けて欲しいのか言え」


考えるより先に、体が勝手に従ってしまう、この響きも。



「っ、、……助けてっ、」



その瞬間、千広くんの背後から、もう一人、誰かが出てくるのが見えた。


瞬きをした直後には、わたしは千広くんに抱きかかえられていて。


わたしを拘束していたはずの大河くんは──絢人くんの手によって捉えられていた。



「千広くん、」

「帰るぞ」


「っ、なんで来てくれたの、……ここが、わかったの」


「……お前な。チョークで書くのはやめろ。雨で見えなくなるところだっただろ」


「え……」


まさか。

でも、ありえない……見つけてもらえるわけ……。

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