音に祈りを!歌に願いを!
「……奏者と護衛について、それぞれ説明したくて……悠は、護衛役である母さんから詳しい話を聞いてくれるかな?……奏者である陽音は、僕から説明するよ」

そう言って、真空は悠に行くように促した。悠は頷くと、姿を見せた女性……真空のお母さんかな?に近付く。

真空のお母さんは悠と少し話をした後、悠を連れて部屋を出ていった。

「…………よし、2人きりになれたね」

そう呟いた真空は、優しく僕を抱き締める。

「え……?」

「……陽音の家庭環境を初めて知った時から、こうやって抱き締めてあげたいって思ってたんだ」

「……」

そっか……真空には、前に話してしまったんだっけ……僕の、家庭環境を……。

「…………っ……」

何でだろう……涙が、溢れてくる……。

「……ここには、僕と陽音しかいないから。思い切り泣いて良いんだよ」

そう言って、真空は優しく僕の頭を撫でた。それが心地よくて、真空の言葉に心が温かくなって……僕は、泣きじゃくる。

「……陽音、良く頑張ったね」

そう呟いて、真空は僕を抱き締める力を強くした。



「……落ち着いた?」

「……うん……ごめん」

数分間泣き続けた僕は、そう言って真空から離れる。
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