青い時間はきみの中
「青木くん、さん付けなんてしなくていいよ。慣れてないんだ」

「なんて呼ばれることが多い?」

「わたしは凛って呼ばれることが多いかな、短いから」

「凛ちゃ、さ、……凛でいい?」

「いいよー。青木くんは?」

「青が多いかな」

「青いイメージあるし呼びやすいもんねえ」


名前の朔ではなくて、青って呼ばれるの、すごく分かる。勝手に分かる。


親御さんがいろいろ考えてつけた名前だろうし、別に呼びにくくないし、朔くんでも困らないんだけど、なんか、呼ぶとしたら青くんだよね。


「え、俺って青いイメージある? 初めて会ったのに?」

「だって、毎回放送で青木がお送りしましたって言うでしょ。青いイメージつくよ」

「えっ」


本人はそんなつもりなかったらしい。ものすごい顔で固まった。


「一年生の間で青木くん有名だよ。青いひと、今日もいい声だなーとか、放送頑張ってるとか言われてる」


青木くんイコール青いひと。青いイメージが先行した結果である。
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