【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「怪我が無くて良かった」
 彼はにっこりと笑う。その笑顔、向ける相手が間違っています、とアイリーンは思っている。そして、その腕を放していただけないだろうか、と。どこからか黒髪眼鏡に吹き矢で射られそうな気がするから。

「すいません。あの、自分で歩けますから、放していただけると助かります」

「上に行くまではこのままの方がいいのではないか?」

「いえ、あの。手が当たっていますので」
 どこに、とは言わない。だが、彼も気づいたようだ。
「すまない。わざとではない」
 謝る彼の首元が赤く染まっていくことに気付いた。アイリーンは笑みを浮かべる。
 王子だからどんなかっこつけかと思っていたけれど、こんな一面も持ち合わせているらしい。

「リーン。新入生歓迎パーティのことなんだが」
 いきなりイブライムが切り出した。アイリーンの脇から抜いた腕を、今度は壁につける。これはいわゆる壁ドンではないか。
「オレにエスコートさせてもらえないだろうか」

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