【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 うーん、とアイリーンは唸る。
「ユミ様が期待されているようなコイバナとは違うかもしれませんが」
 前置きをつけて、アイリーンは言葉を続ける。
「私、プーランジェの王太子殿下の婚約者候補、だったのです」

「婚約者候補?」
 そう、婚約者ではなく、候補。だから、正確には婚約者にはなっていない、ということ。また、婚約者候補として名前が挙がっている間はもちろん他の人と婚約することもない。
 では、婚約者候補から婚約者にならなかった場合はどうなるのか。ただの行き遅れになるのか、というとそうでもない。あの王太子殿下の婚約者候補だった、というのも一つの価値であり、それなりのところから話がくる。
 今回のアイリーンの場合も、留学を終えて自国に戻った時には、それなりに話がやってくるだろう、と思われる。ただ、あの父親が納得できる相手でないと、アイリーンの元まで話が届かないかもしれないが。

「はい。正式な婚約者は、王太子殿下の成人の祝いで発表されるのです。それまでは、婚約者候補という扱いになります」

「へー。さすがプーランジェね。あからさまな政略結婚」
 軽く握った拳の上に顎をのせて、ユミエーラは顔を傾けた。

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