【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 今日は国境の町までの移動となる。この町で一泊し、次の日にアスカリッド入りとなる。この国境の町は、モントーヤ辺境伯の領地であり、つまり彼が治めている町であり、三十年以上も前は隣国との戦いのために非常に重要な拠点でもあった。しかし今では戦も無いため、こうやって隣国と行き来するための立ち寄り地となっている。モントーヤ辺境伯には事前に使いを出しておいたが、今日の立ち寄りを快く受け入れてくれた。何しろ、ボイド公爵とモントーヤ辺境伯の二人は遠い親戚に当たる。

「久しいな、モントーヤ伯。今日は世話になる」

「ボイド公爵もお変わりなく」

「これが娘のアイリーンだ」

「アイリーン・ボイドです」
 背筋をまっすぐと伸ばしたまま、一礼する。

「ああ、これが噂の」
 と言って、モントーヤ伯は次の言葉を飲み込んだ。

「我が娘にどんな噂が立っているかは追及しないが。堅苦しい挨拶はもう終わったということで良いかな?」

「ああ。噂のことは追及しないでいただきたい。ただ、こんな辺境にまで届いているという噂だから、この国の重鎮共は知っていると思った方がいいんじゃないのか?」

「レイの言うことはもっともだな。だが、ある程度予想はついている。宰相の娘は隣国へ留学希望した変人とか、その辺りじゃないのか?」

「さすが、エルだな。あながち間違いじゃない。ただ、噂になっているのはお前のほうだよ。娘を自分の秘書にしたいがために、隣国で語学の勉強をさせるってな」

「それは否定しない」

< 26 / 365 >

この作品をシェア

pagetop