【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 本を読んでいたら夕飯の時間となった。この寮は各自の部屋で夕飯をとることができる。アイリーンはモイラしかいないことをいいことに、夕飯を食べながら本を読む。間違いなく、行儀が悪いという言葉がとんでくるような行為だが、それを言うのはモイラくらいで、モイラはこちらの味方に引き込んでしまったため、結局誰もいない。
 夕飯を終え、ノエルが部屋に来るのを待っていた。その間もサラから借りた本を読んでいた。だが、これが間違いだった。
 ドアをノックされた。モイラが対応するとノエルだった。
「お邪魔しまぁす」という明るいノエルの声がする。だが、アイリーンは声を出すことができない。
「ちょ、ちょっとリーン。どうしたの? 何があったの?」

「エル……。あなたはこの本を読んだの? もうダメ……。泣ける」

「え、うん。泣けるっていうか、泣いているわよ。あなた」
 手元のハンカチでアイリーンは涙を拭いてから、どうぞ、と椅子をすすめた。
「ええと、それなんだっけ?『美しき二人』か。読んだ読んだ。序盤から泣かせられるのよね」
 ノエルの言葉に、うんうん、とアイリーンは頷く。ちょっと本の世界から帰ってくることができたので、涙は少し引っ込んだ。
 モイラは黙ってお茶の用意をして、二人の前に差し出す。

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