冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
「この仕事は観月さんに向いてると思うんだ。庄司さんと協力して、ふたりで取り組んでくれないか」
「はい、私でお力になれるなら」

 蝶子がこくりとうなずくと、羽柴はアルバイト内容の説明を始める。思っていた以上の大役に、真琴も蝶子も驚いた。

「吉永沙良って、あの【虹の王国】シリーズの訳者の?」
「そうそう。吉永くんは僕が前いた大学の教え子でね、個人的に親しくしているんだよ」

 吉永沙良は、今もっとも売れっ子の翻訳家だ。世界中でベストセラーになった児童文学シリーズの日本語訳も彼女が担当している。

「新しく大長編の翻訳を頼まれたらしくて、さすがに大変だからアシスタントが欲しいって話なんだ」

 話を聞いていた桃子が弾んだ声をあげる。

「え~。蝶子、大チャンスじゃないの! 吉永沙良に気に入ってもらえたら、翻訳家への道も開けるかもよ」

 羽柴もにこりと笑って、うなずく。

「観月さんは翻訳の仕事に興味があったんだよね。吉永くんの仕事ぶりを見せてもらえるのはいい経験になるはずだよ」
「は、はい!」
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