冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
ポットからティーカップに紅茶を注ぐ蝶子の手はカタカタと震えている。蝶子が紅茶を差し出すと、紀香は礼も言わずにそれを受け取り、口をつけた。
「いい茶葉ね。さすがは有島さん」
優雅な仕草で紅茶の香りを楽しんでいる。所在なさげに立ち尽くしている蝶子に、顎を動かし「座ったら?」と告げる。
エル字型をしたソファの、紀香の斜め向かい側に腰を落ち着けた蝶子は、勇気を振り絞って話しはじめた。
「あの、晴臣さんと正式に結婚をしたいと思っています。どうかお許しを」
最初から、晴臣の婚約者は蝶子だったのだ。紀香にも七緒にもとやかく言われる筋合いはない。堂々とそう言えたらいいのだが……彼女を前にすると蝶子はどうしても萎縮し声が小さくなってしまう。
紀香はなにも言わない。長い長い沈黙のすえに「ふふん」と鼻で笑った。
「本当にいいご身分よね。誰のお金でここまで育ってきたと思ってるわけ? つぶれかけた観月製薬を救ったのは、私の実家よ。今だってなにかと援助をしてる」
蝶子は弾かれたように顔をあげる。
「それはっ、感謝しています。本当です。ですが……」
「いい茶葉ね。さすがは有島さん」
優雅な仕草で紅茶の香りを楽しんでいる。所在なさげに立ち尽くしている蝶子に、顎を動かし「座ったら?」と告げる。
エル字型をしたソファの、紀香の斜め向かい側に腰を落ち着けた蝶子は、勇気を振り絞って話しはじめた。
「あの、晴臣さんと正式に結婚をしたいと思っています。どうかお許しを」
最初から、晴臣の婚約者は蝶子だったのだ。紀香にも七緒にもとやかく言われる筋合いはない。堂々とそう言えたらいいのだが……彼女を前にすると蝶子はどうしても萎縮し声が小さくなってしまう。
紀香はなにも言わない。長い長い沈黙のすえに「ふふん」と鼻で笑った。
「本当にいいご身分よね。誰のお金でここまで育ってきたと思ってるわけ? つぶれかけた観月製薬を救ったのは、私の実家よ。今だってなにかと援助をしてる」
蝶子は弾かれたように顔をあげる。
「それはっ、感謝しています。本当です。ですが……」