冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
「お姉ちゃん、遅いよ~。お腹空いたから早くして」

 蝶子よりふたつ年下の七緒は、私立の女子大に通っている。明るい茶色に染めた髪に流行りのメイク、最近人気のアイドルによく似たかわいらしい顔立ちをしている。七緒は紀香の連れ子で血が繋がっていないので当たり前だが、古風で淑やかな雰囲気を持つ蝶子とはまるで正反対だ。そして、七緒は実母である紀香ともあまり似てはいない。紀香は服装こそ華やかだが、顔立ちそのものはおとなしく地味な印象だった。

「ごめんね。すぐに用意するから」

 蝶子はすばやく料理に取りかかる。今夜のメニューはグラタンとラタトゥイユだ。蝶子はどちらかといえば和食を好むが、紀香も七緒も洋食好きなのだ。

(汁物はコンソメスープでいいかしら)

 料理は慣れたものだ。通いの家政婦さんが来てくれていた時期もあるが、気難しい紀香がすぐにクビにしてしまうので、いつの間にか家事は蝶子の仕事となった。
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