冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
「おたふく風邪か?」
「おそらく。学校でも流行りはじめていた時期だったんですよね」
小夜子の失踪騒ぎで、すぐには病院に行けなかった。数日してから通いで来てくれていた家政婦が『念のため』と病院に連れていってくれたが、そのときにはもう熱もさがり顔の腫れもひいていて、医師も『問題ないでしょう』との見解だった。ところが、ひと月後くらいに蝶子の左耳に異変が生じた。
晴臣は悲痛な表情でふぅと細く息を吐いた。
「ムンプス難聴。君の年齢だと、おたふく風邪ワクチンは任意接種に変わったあとだな。ワクチンによる無菌性髄膜炎が大きな問題になり、打たないのが多数派になっていた時代だ」
蝶子はこくりとうなずく。もちろんあとから調べてわかったことだが、彼の言うとおり蝶子もワクチン接種をしていなかった。
「だが、発熱などの症状が出たときにすぐに対処していれば、結果は変わったかもしれないのに」
悔しそうに晴臣はうめく。蝶子は軽く目を伏せ、首を横に振る。
「おそらく。学校でも流行りはじめていた時期だったんですよね」
小夜子の失踪騒ぎで、すぐには病院に行けなかった。数日してから通いで来てくれていた家政婦が『念のため』と病院に連れていってくれたが、そのときにはもう熱もさがり顔の腫れもひいていて、医師も『問題ないでしょう』との見解だった。ところが、ひと月後くらいに蝶子の左耳に異変が生じた。
晴臣は悲痛な表情でふぅと細く息を吐いた。
「ムンプス難聴。君の年齢だと、おたふく風邪ワクチンは任意接種に変わったあとだな。ワクチンによる無菌性髄膜炎が大きな問題になり、打たないのが多数派になっていた時代だ」
蝶子はこくりとうなずく。もちろんあとから調べてわかったことだが、彼の言うとおり蝶子もワクチン接種をしていなかった。
「だが、発熱などの症状が出たときにすぐに対処していれば、結果は変わったかもしれないのに」
悔しそうに晴臣はうめく。蝶子は軽く目を伏せ、首を横に振る。