冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
紀香はひったくるようにして通帳を奪うと、中身を確認して鼻で笑った。
「有島家の若奥さまからしたら、こんなのははした金よね~。あんたの母親の罪でもあるのに、知らんぷりとは、いい根性だこと」
「お母さんと私は違う人間です。それに、今回の騒動は過去の件とはなにも関係ない」
蝶子の毅然とした態度に紀香は「はっ」と吐き捨てるように低く笑う。
「とうとう本性を現したわね。私はあんたがそういう人間だって最初から知ってたのよ。綺麗な顔して、心では平気でおぞましいことを考えてる。手を差し伸べるふりをして、私を崖から突き落として笑うんだわ。見て見ぬふりをしたクラスの奴らも教師も、みんな……」
「クラス? ママ、なんの話をしてるのよ」
青白い顔で全身をブルブル震わせている紀香の肩を七緒が揺さぶる。以前蝶子とふたりで話したときと同じだ。紀香の目は蝶子を通り越して別の誰かを見ている。
「有島家の若奥さまからしたら、こんなのははした金よね~。あんたの母親の罪でもあるのに、知らんぷりとは、いい根性だこと」
「お母さんと私は違う人間です。それに、今回の騒動は過去の件とはなにも関係ない」
蝶子の毅然とした態度に紀香は「はっ」と吐き捨てるように低く笑う。
「とうとう本性を現したわね。私はあんたがそういう人間だって最初から知ってたのよ。綺麗な顔して、心では平気でおぞましいことを考えてる。手を差し伸べるふりをして、私を崖から突き落として笑うんだわ。見て見ぬふりをしたクラスの奴らも教師も、みんな……」
「クラス? ママ、なんの話をしてるのよ」
青白い顔で全身をブルブル震わせている紀香の肩を七緒が揺さぶる。以前蝶子とふたりで話したときと同じだ。紀香の目は蝶子を通り越して別の誰かを見ている。