冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
 クスクスと笑うふたりを横目に、蝶子はほっと胸を撫でおろした。出ていってほしいからという理由はともかく、紀香が晴臣とのことを反対していないのは蝶子にとってありがたいことだった。

 ***

 三か月前。蝶子の人生を大きく変えることになる電話が観月家のリビングに鳴り響く。正月三が日は明けたものの大学はまだ休みで、蝶子も七緒もその場にいた。蝶子はキッチンで洗い物をしていたため、電話に出たのは七緒だった。

「ママ~、電話よ」
「誰から?」

 ソファで雑誌をめくっていた紀香が七緒を振り返る。

「知らない女の人。有島さんだって」
「あぁ……」

 思い当たる人物がいたのだろう、紀香は急ぎ足で電話口へと向かう。

(有島さん……もしかして……)
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