冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
ふたりは『もうどうでもいい』とでも言いたげにくるりと踵を返すと、ソファに戻っていく。再び雑誌をめくりはじめた紀香が釘をさすような口調で蝶子に言った。
「わかってると思うけど、有島家の機嫌を損ねないでよ。婚約でも結婚でも、先方の言うとおりに従っておきなさい」
「……はい」
紀香は『たとえ嫌でも結婚しろ』と言いたいようだったが、蝶子はきっとそんなことは起こりえないと理解していた。
(あの晴臣さんなら……きっと素敵な男性になっているはずだもの。私なんかを選ぶはずがない)
そして、取り決めた約束の日。目の前に現れた晴臣は蝶子の想像をはるかにこえた素敵な男性になっていた。上質なスーツをさらりと着こなすスタイルのよさ、清潔感のある短髪、大人の色香が漂う美しい顔立ち。なにより瞳が印象的だ。見つめられると、呼吸が止まりそうになる。
初対面ではないから、ひとめ惚れという表現はおかしいかもしれない。けれど……。
(どうしよう、ドキドキして……自分が自分じゃなくなるみたい)
こんな胸の高鳴りを蝶子は知らない、彼の一挙手一投足に蝶子の目は吸い寄せられ、頭のなかは彼一色になった。
***
「わかってると思うけど、有島家の機嫌を損ねないでよ。婚約でも結婚でも、先方の言うとおりに従っておきなさい」
「……はい」
紀香は『たとえ嫌でも結婚しろ』と言いたいようだったが、蝶子はきっとそんなことは起こりえないと理解していた。
(あの晴臣さんなら……きっと素敵な男性になっているはずだもの。私なんかを選ぶはずがない)
そして、取り決めた約束の日。目の前に現れた晴臣は蝶子の想像をはるかにこえた素敵な男性になっていた。上質なスーツをさらりと着こなすスタイルのよさ、清潔感のある短髪、大人の色香が漂う美しい顔立ち。なにより瞳が印象的だ。見つめられると、呼吸が止まりそうになる。
初対面ではないから、ひとめ惚れという表現はおかしいかもしれない。けれど……。
(どうしよう、ドキドキして……自分が自分じゃなくなるみたい)
こんな胸の高鳴りを蝶子は知らない、彼の一挙手一投足に蝶子の目は吸い寄せられ、頭のなかは彼一色になった。
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