冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
 晴臣は膝を折り、蝶子の顔をのぞき込む。蝶子は大きく深呼吸をひとつしてから、意を決して彼の手に自分の手を伸ばす。さきほどと同じように、彼の指をそっと握った。

「さっきはこれが精いっぱいだったんですけど、でも……私は幼稚園児ではないので」

 蝶子が言うと、晴臣は少し驚いたように目を丸くした。蝶子は勇気を振り絞って、続ける。

「晴臣さんと一緒にいたいっ……です。ご迷惑でなければ、おそばに置いてください」

 ぎゅっと固く目をつむった蝶子の頭に彼の大きな手がおりてくる。優しく頭を撫でられる感触に、蝶子はそっと目を開けて彼の顔を見た。

「上出来だ」

 晴臣は目を細めてくしゃりと笑っている。彼のこんな全開の笑顔を見るのは初めてで、蝶子の胸はじんわりと温かくなった。

(――あぁ、勇気を出してよかった!)

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