冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
 そんなことから観月家とは疎遠になり、ビジネスのみの関係になってしまったのだと百合は説明した。

「でも晴臣にその気があるなら、あらためて観月さんに連絡しましょうね」

 まるで結婚が決まったかのようにウキウキしている百合に晴臣はしっかりと釘をさす。

「おそらく、ぬか喜びになると思いますよ。俺と同じく、彼女もとっくに終わった話だと思っているでしょうから」

 晴臣は苦笑してそう言った。
 蝶子はきっと、美しい女性に成長しているだろう。恋人のひとりやふたりは当然いるだろうし、今さら古い婚約を持ち出されてもその気になることはないはずだ。

 それから二週間後。百合のはからいによって、晴臣は十数年ぶりに蝶子と再会することになった。港区芝、東京タワーの足元にある料亭で夕食を共にすることにした。
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