冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
「ごめんなさい。ついうっかり……おもしろくないですよね、こんな話」
「いや、非情に興味深かったよ。専門的に学んでいるだけのことはある」
晴臣は素直にそう答える。お世辞ではなく、本当に彼女の話はおもしろかった。お嬢さまが腰かけ感覚で大学院に進学したのかと思っていたが、とんだ無礼だった。
彼女は驚いたように目を見開いたかと思うと、ふんわりとほほ笑む。花がほころぶようなその笑顔に晴臣の胸まで温かくなる。
ちょうど焼き物を食べ終えたところで、本題の婚約の件を切り出すのに最適なタイミングを迎えていた。晴臣はすっと蝶子を見据え、話しはじめる。
「今日来てもらったのは、かつてした約束のことを――」
晴臣の話を遮るように、障子ばりの引き戸の向こう側からどっと大きな笑い声が響いてきた。声の調子と内容から察するに、金と時間のあり余るマダムのグループのようだ。伝統ある料亭にはあまり似つかわしくない賑やかさだった。おまけに、彼女たちの部屋は晴臣たちの真向かいのようだ。
晴臣は軽く眉をひそめて嘆息する。
「もっと静かな店だったと記憶していたんだが」
「いや、非情に興味深かったよ。専門的に学んでいるだけのことはある」
晴臣は素直にそう答える。お世辞ではなく、本当に彼女の話はおもしろかった。お嬢さまが腰かけ感覚で大学院に進学したのかと思っていたが、とんだ無礼だった。
彼女は驚いたように目を見開いたかと思うと、ふんわりとほほ笑む。花がほころぶようなその笑顔に晴臣の胸まで温かくなる。
ちょうど焼き物を食べ終えたところで、本題の婚約の件を切り出すのに最適なタイミングを迎えていた。晴臣はすっと蝶子を見据え、話しはじめる。
「今日来てもらったのは、かつてした約束のことを――」
晴臣の話を遮るように、障子ばりの引き戸の向こう側からどっと大きな笑い声が響いてきた。声の調子と内容から察するに、金と時間のあり余るマダムのグループのようだ。伝統ある料亭にはあまり似つかわしくない賑やかさだった。おまけに、彼女たちの部屋は晴臣たちの真向かいのようだ。
晴臣は軽く眉をひそめて嘆息する。
「もっと静かな店だったと記憶していたんだが」