冷徹ドクターは懐妊令嬢に最愛を貫く
 彼女は初めてなのだから、優しく気遣ってやらねばならない。頭ではそう理解しているのに、身体がいうことを聞かない。むしろ、もっともっと困らせて、啼かせてやりたい。そんな薄暗い欲望ばかりが晴臣の頭を支配する。

「痛かったり、不快に感じることがあれば言え」

 なんとか理性をかき集めて、彼女にそう声をかけた。だが、『不快だ』と言われたところで本当にやめられるのか……自信はなかった。
 蝶子は熱に浮かされたような顔で、浅く息を吐き言った。

「不快じゃないです……むしろ逆でっ。どうにかなってしまいそう」

 かき集めた晴臣の理性が雲散霧消していく。困ったように、晴臣は細くため息をついた。

「君は本当に……末恐ろしいな」

 このまま彼女に溺れきっていく自分の未来が、晴臣には容易く想像できた。魂を抜かれ、骨抜きにされて、抜け殻になりそうだ。

(なにより恐ろしいのは、俺自身がそれを望んでしまっていることだな)

 晴臣はゆっくりと、蝶子の固く秘められてきた場所に手を伸ばす。入口はすぐに見つかったが、あまりにも狭く指先すら受け入れてくれそうにない。

「あっ」

 蝶子の表情に恐怖の色が浮かぶ。他者の侵入を拒もうと、ますます身体がこわばる。晴臣はそんな彼女に触れるだけの優しいキスをして甘い笑みを浮かべた。

「俺を見ていろ。なにも考えなくていいから」
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