キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
「お待たせしました」
「遅い」
私から強引に髪飾りを受け取った先輩は、衣装を着たモデルさんに髪飾りをつける。
「もういいよ。邪魔だから早く戻って」
「……はい」
本当に雑用としてしか見られていない。
もう先輩を怖いと思うこともなくなった。
無感情。それを貫き通さないとやってられない。
会議室を出た私が重い足取りで向かったのは、被服室──ではなく4階の非常階段。
雑用。使い走り。立っていたら「邪魔」だと言われ、手伝いたくて声をかけたら「うるさい」と言われる。
撫高祭が終わって3年生が引退したら少しは変わる──と言われているけど、私に対する扱いは変わらないと思う。
だって、私の陰口を言うのは2年生だから。