ちょうどいいので結婚します
「ところで、千幸さん」
千幸は功至の言い方に、ふふと笑って返事した。
「何でしょうか」
「お父さんは、婚前旅行なんて許してくれるタイプ? 」
「さあ、どうかな」
「大丈夫だよね。俺、婚約者だし」
と、不安いっぱいの顔で言った。
「ふふ、あははは、ほんと、面白いなぁ、功至さん」
「いやぁ、だって可愛い娘が結婚しちゃう親の心情的にどうだろうと思ってさ」
「じゃあ結婚するまで旅行はやめとく?」
「行くけどね? 行くんだけどね。千幸ちゃんのお父さんには嫌われたくないじゃないか」
「大丈夫でしょ。父は三十路近い娘に早く結婚して欲しくて仕方無かったんだから。それに、もうここに泊まってしまってるし」
はた、と目が合ったまま二人固まってしまった。千幸の一言で急に状況を認識したのだ。
「功至さん、もしかして、最初はシティホテルか旅行でっていうの……気に」「あっ、朝食どうしようか。昨日遅かったから何も買ってなくて。近くに美味しいモーニ……んぐ」
気まずさを払拭しようとして口を開いたのは二人同時だった。喋ってしまって相手の言ったことがよく聞こえなくて、理解するのに数秒。再び同時に口を開いた。
「さすがにモーニングでもこの時間には開いてな……」
「いやいやいやいや、昨日は千幸ちゃんが寝ちゃったから何もしなかったってか、出来なかっ……」
「ごめんなさい。そうよね、我慢させちゃった?」
「まだ開いてないねぇ! 店は!」
また少し沈黙が訪れた。
千幸は功至の言い方に、ふふと笑って返事した。
「何でしょうか」
「お父さんは、婚前旅行なんて許してくれるタイプ? 」
「さあ、どうかな」
「大丈夫だよね。俺、婚約者だし」
と、不安いっぱいの顔で言った。
「ふふ、あははは、ほんと、面白いなぁ、功至さん」
「いやぁ、だって可愛い娘が結婚しちゃう親の心情的にどうだろうと思ってさ」
「じゃあ結婚するまで旅行はやめとく?」
「行くけどね? 行くんだけどね。千幸ちゃんのお父さんには嫌われたくないじゃないか」
「大丈夫でしょ。父は三十路近い娘に早く結婚して欲しくて仕方無かったんだから。それに、もうここに泊まってしまってるし」
はた、と目が合ったまま二人固まってしまった。千幸の一言で急に状況を認識したのだ。
「功至さん、もしかして、最初はシティホテルか旅行でっていうの……気に」「あっ、朝食どうしようか。昨日遅かったから何も買ってなくて。近くに美味しいモーニ……んぐ」
気まずさを払拭しようとして口を開いたのは二人同時だった。喋ってしまって相手の言ったことがよく聞こえなくて、理解するのに数秒。再び同時に口を開いた。
「さすがにモーニングでもこの時間には開いてな……」
「いやいやいやいや、昨日は千幸ちゃんが寝ちゃったから何もしなかったってか、出来なかっ……」
「ごめんなさい。そうよね、我慢させちゃった?」
「まだ開いてないねぇ! 店は!」
また少し沈黙が訪れた。