ちょうどいいので結婚します
「え、何その棚ぼたみたいな話」
賑やかな居酒屋で話をすることになった。いや、多華子からすると聞かされているという心境だろうか。
「棚ぼた? え、今、俺のちゅきちゃんをぼたもちに例えた?」
「いや、ぼたもちじゃなくて、ダイヤモンドでもいいけど」
「ダイヤモンドねえ。ちゅきちゃんに比べたら石ころじゃね?」
「ああ、もう。じゃあ、空から天使でいいから」
「確かに。ちゅきちゃんは羽のない天使みたいなものだからな。うん。俺、死ぬ気で受け止める」
「はいはい。で、アンタがまさかのここへ来て男を見せて結婚までこぎつけたのかと思ったら。全く、運だけはいい奴ね、アンタって」
「いや、向こうの父親に好かれてるというのは、努力と実力」
「……まあ、娘の結婚相手として申し分ないことは認めるわ。父親同等レベルで彼女を愛してることも間違いないわね」
「そう、愛してる」
功至は躊躇いなく愛を口にした。聞き慣れている多華子は特につっこむこともせずに目の前のビールジョッキを空けた。
「で、本人は何て言ってるの?」
「それがさ、ちゅきちゃんと全然話せてないんだよ。今日は特にタイミングが悪くて」
「へえ、何やってんのよ。電話したらいいじゃないの」
「……電話番号知らない」
多華子の顔がホラーさながらの恐ろしい形相に変わった。功至はそういえば、もうすぐハロウィンだなとそれを見て思い出していた。
賑やかな居酒屋で話をすることになった。いや、多華子からすると聞かされているという心境だろうか。
「棚ぼた? え、今、俺のちゅきちゃんをぼたもちに例えた?」
「いや、ぼたもちじゃなくて、ダイヤモンドでもいいけど」
「ダイヤモンドねえ。ちゅきちゃんに比べたら石ころじゃね?」
「ああ、もう。じゃあ、空から天使でいいから」
「確かに。ちゅきちゃんは羽のない天使みたいなものだからな。うん。俺、死ぬ気で受け止める」
「はいはい。で、アンタがまさかのここへ来て男を見せて結婚までこぎつけたのかと思ったら。全く、運だけはいい奴ね、アンタって」
「いや、向こうの父親に好かれてるというのは、努力と実力」
「……まあ、娘の結婚相手として申し分ないことは認めるわ。父親同等レベルで彼女を愛してることも間違いないわね」
「そう、愛してる」
功至は躊躇いなく愛を口にした。聞き慣れている多華子は特につっこむこともせずに目の前のビールジョッキを空けた。
「で、本人は何て言ってるの?」
「それがさ、ちゅきちゃんと全然話せてないんだよ。今日は特にタイミングが悪くて」
「へえ、何やってんのよ。電話したらいいじゃないの」
「……電話番号知らない」
多華子の顔がホラーさながらの恐ろしい形相に変わった。功至はそういえば、もうすぐハロウィンだなとそれを見て思い出していた。