天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「なあ、店主。この布だけ買えないか?」

「悪いな。弁当とセットなんだよ」

 今日売り出したばかりなのに、布だけでも欲しいという人が出るのは想定外だった。失敗したな、と思いながらミリエラとカークは弁当屋の手伝いを続ける。

「――すまない、もう今日は売り切れなんだ!」

 販売を初めて一時間後。あっという間に屋台のサンドイッチは売り切れてしまった。売り切れたのは、もしかしたら保冷布の方が目当てだったのかもしれない。

「お前、あんな布どこで見つけてきたんだよ!」

「どこで買えるのか教えろ!」

 近くに屋台を出していた店の店主達がこちらに押しかけて来た。

(あ、失敗した……)

 ミリエラは反省した。

 顧客がここの屋台に集中してしまったのだ。他の屋台の主達が、面白くないと思うのも当然だ。

「それは、まだ言えない――」

「教えろって!」

「自分だけ、得をするつもりなのか? あの布があれば、皆、もっと弁当の売り上げを上げられるだろうに」

 店主に食ってかかっている者達の中には、拳を振り上げている者もいた。このままでは、喧嘩になってしまいそうだ。

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