天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 一目見てわかる。屋敷にある母の肖像画。そして、父がミリエラに見せてくれた記録動画。そこで見た母を三十ほど年長にしたら、目の前に立っている女性になる。

 彼女は扉を開いたところで立ち尽くしていた。こちらを見る目がみるみる潤んでいく。

「ふたりとも中に入りなさい――ケーキを用意してあるんだ。気に入ってくれるといいんだが……子供は何が好きなのか、もうわからなくなってしまったよ」

 老婦人に続いて出てきたのは、気品漂う老人であった。おそらく、こちらが祖父なのだろう。

「伯爵――いえ、義父上。長い間、ご無沙汰を――」

 父がそう口にしかけたところで、三人の大人達は互いに言葉を失ってしまう。

 最愛の娘を失い、最愛の妻を失ったその日。たぶん、その日から彼らの間には対話というものがなかった。

 お互いどうしたらいいのかわからない様子で、それぞれの場に立ち尽くしている。

「……おじい様、おばあ様。ミリエラです。今日は、お招きありがとうございます」

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